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「【日本の観光ビジネスは実利の精神が足りない】 イギリス人アナリスト日本を叱る」
まず、作者から紹介。
イギリス人の”デービット・アトキンソン”。
オックスフォード大学で日本学を専攻していたそうな。その後、ゴールドマン・サックス入社。2009年からは国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社し、現在は代表取締役社長だそうです。
本物のエリートきましたー。
統計データを屈指し理路整然と日本の観光業のイケてない部分を指摘。これが超気持ちいい。
この問題提起の仕方は、イギリスにおける教育によって養われたと言っていますが、もしこれが本当ならイギリス人の書いた文章をもっと読みたいです。
まあ、幾つもイケてない部分を生産的に指摘して頂いています。
簡単に言うと”超金持ちの欧米人がくる観光業にしよう”とのことだと思いました。彼は、1泊300万円のホテル泊まるようなセレブを想定しているようです。
この本を読んで色々感じましたが、私の中での結論は、”イケてる観光というものをしたことがない日本人に、イケてる観光なんて出来ない”です。
上からの観光政策であれば、観光業のプロが色々と施策を考えてくれるかもしれません。しかし、彼の主張は「それぞれの地方自治団体が自分の力でイケてる観光地になってよ」みたいなことのように感じます。
それは、日本人には無理なお話ですよ。ツアーじゃなくて旅行したことがある人がどれだけいますか? それもバックパッカーみたいな旅行とかハワイとかのリゾートもダメなんですよ。都会のイケてる人々には相当数いると思いますが、地方にはあまりいないですよ。イギリスとは文化の成熟度が違うんです。
金持ちの教養のレベルがそんなに高くない。そりゃ、都会の金持ちより地方の金持ちの方が教養はあると思います。
そして、最近ではちょっとずつ富が集中してきて教養のレベルも上がってきてるかもしれないけれど、あと100年ぐらいは必要でしょう。
今の日本人に対応できる想像力は、アジア人の”爆買”止まりでしょうね。政策もその程度にしか対応できていないように思います。
東大生の何割が村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいるでしょう
そして、又吉直樹の「火花」を評価できるでしょうか?